神戸在住』の10巻を読了。 大事に大事に読むといいながら、実のところ買ってその日の内に読んでしまいました。 主人公の大学生活が終わりを迎えるとともに、作品も綺麗に終わり。完結。

主人公がなにを見ているか、どう感じているかというところに重きが置かれていた漫画なんだけれど、今回の最終巻では、他の登場人物たちがあの時こんな風に思っていたっていう部分が描かれていてよかった。7巻に収録された重要なエピソードについて、傷ついた主人公に対し、なにも声をかけられなかった友人はどういう状況にあったのか。その場で消えていった人はどんなバックボーンがあり、何を考えていたのか。 今まで積み重なってきていた負の要素を、さらっと拾うことができる作者の人間描写・世界観づくりの巧さがね。 それ以外には、この漫画らしく劇的なフィナーレって感じはなくて、淡々と穏やかに終わりにむかってくれて満足。

僕が大学1年生のときにこの漫画と出会って、それから約6年間愛読させていただきました。大学生活を送りながらこの漫画を読めたっていうのは、この漫画を好きにさせる要素として大きな部分だったと思う。 みんなで海にいく話や、鍋を食べる話や、スニーカーを買いにいく話がいちいち楽しそうで目につく。いつもは強気なのにぜんそくが発症したときは昔の癖で主人公を「おねえちゃん」と呼んでしまう弟の話や、父親と主人公の思春期時代のことを話しながら食べたフランス料理の話、家族で温泉にいく話では両親が腕を組んだりしていて、僕が好きな家族内のいい話も多かった。そしてこの漫画でまず最初にはっとさせられた、阪神淡路大震災のこと。非常にリアルに描かれてる。 10巻あって、どの巻にも読ませる話があるわけで、これはおそらくずっと売らないで取っておくことになるでしょう。うん。