『東京夜話/いしいしんじ東京夜話 (新潮文庫)

好きな作家さんが増えました。いしいしんじさん。 僕はもともと、村上春樹が好きで小説を読み始めたっていうあんまりにも個性のない人間なのですが、その村上春樹のどこがぐっとくるかっていうと「現実だか非現実だかの境界が分かりづらいなんとなくインチキ的な表現があって、でもそれって自分の中にあるいつもは刺激してないツボで、そこをくすぐられるのが気持ちいいから」 だらだら長く書きましたがそーゆーところなんです。伝わりませんね。 ともかくいしいしんじさんはそのツボを似たような感じで刺激してくれていいです。うん。 ひらがなの文章の間に「いしいしんじ」という名前を挿し込むとよくわからないことになるな。

目的もなく夜の都会を散歩するのが好きな人って多いと思うんですけども、僕にとってもその行為は、なんだかワクワクするんです。空気はつんとしていて、昼に比べたら人通りが少なくて快適、でもどこかでなにかが起きてるような感じがする。 この東京夜話は、その「どこかでなにかが起きてるような感じ」を味わえます。 新宿でダッチワイフと呑んだり、「池袋くん」のコンプレックスを聞いたり、町に転がる酔っ払いを回収&廃棄したり。 夜の街を舞台にした話が18話も収録。(一部、街じゃないけれど) 非常におもしろかった。