孤独のグルメ
ぼくは『孤独のグルメ』という漫画がすきで、よく寝る前なんかに布団にもぐりながら読みます。 これはアンチ食通なグルメ漫画といわれていて、幻の食材なんていっさい登場しない。輸入商をしている独身男性がひとりで定食屋に入ったり、新幹線で弁当を食べてるところが丁寧に描かれる。 「豚汁と豚肉炒めで、ブタがかぶってしまったぞ・・・」だとか、「新幹線の中でシューマイ弁当のにおいが広がって、まいったなあ・・・」だとか、そんなふうに主人公が思ったことをただぼやくだけ。そうしてほんとにただ普通に食事をとるだけ。 そのぼやきの台詞や、絵の感じなんかが、妙にリアルでいい。 ストーリーも見せ場もなく淡々としているのだけれど、話の1つ1つがぎゅぎゅっと詰まってる感じで。そして、食事というのは幸福なものだということが伝わってくる。 この漫画を読みながら僕は、べつに特別な面白いことなんかなくても、食事だけとってみても生きるのはどこかたのしい、そう思わされてしまうのです。

さいきん僕のなかで「孤独のグルメごっこ」というのが流行っています。これはただ単に、ひとりで地元の定食屋なんかに入って、心の中でいろいろぼやくという遊び。 「カラシの量が多すぎる、いったいなにに付けろっていうんだ・・・」「ごはんに水気が足りないと思ったら、案の定、こんなにもお茶碗にくっついてしまっている・・・」なんていうことを、ひとり黙々と食べながら考えるのです。すごく、たのしい。 どんどんひとりで生きていくのが上手になります。友達は一向に増えません、ていうか減るいっぽう。